2016年 09月 03日
![]() 古書には次のように記されています。 「すべて飲食から栄養を摂取して、生命を養っている。しかし、食物の中にはこれを食すると体に良くないものがあり、知らずに食べると、かえって害にとなるものもある。近頃の人(漢の時代)をよく見てみると、節制、養生に心を傾けようとせずに、病気にかかることが非常に多い。飲食によって病を生じない者はないのである。かりそめにも、その生命を全うしようとするならば、食べてはいけない物を知ることが大切である。 食物の味には体に良い物があり、身に害を及ぼす物もある。体に合った食物を飲食すれば、体力を益し健康になることができる。害する物を飲食すれば、それで病を起こし、このために危険を招くことになる。そのようなものは、みな治療し難いものである」 現在の美食、飽食の時代にもあてはまる警鐘で、耳を傾ける必要があるでしょう。 それでは、五臓の虚実による食物の五味の取り方についてまとめておきます。 「肝臓」が弱く疲れやすい人は、酸味の物と甘い物を体に合っただけ食べるようにし、辛味の物を食べ過ぎてはいけません。 「心臓」が弱く疲れやすい人は、苦味とか辛味の物をなるべく多く取るようにし、鹹味の食物を食べ過ぎないようにします。心臓が病的に強過ぎる場合には、鹹味の物を余分に取るように心掛ける必要があります。 「脾胃」が虚弱で疲れやすい人は、甘味か鹹味の物をなるべく食べれば良く、酸味のものを食べ過ぎてはいけません。 脾胃が強過ぎる人は、酸味の物を摂取して、脾胃の働きを抑える必要があります。それを知らないで摂取し過ぎると胃を悪くすることがあります。自然酢を服用する場合でも、必要量をきめ、脾胃の弱い人は、酢の中に甘味を加える必要があります。 「肺」が弱く疲れやすい人は、辛味とか酸味の食べ物を多く取るようにし、苦味の物を食べ過ぎないようにしましょう。肺が病的に強過ぎるときは、苦味の物を食べて、肺の働きを抑えることです。 「腎臓」が虚弱で疲れやすい人は、鹹味とか苦味のものを体に合っただけ食べるようにし、甘味の物を食べ過ぎてはいけません。 腎臓の機能が強すぎて体に変調を起こした場合には、甘味の物を少し余分に食べてください。 また、古書によると、「食による中毒を治そうとする場合には、急いで病を救おうとして、熱いままで湯薬(煎じ薬)を服用してはならない。中毒の薬は、熱を得るとますます病毒がひどくなるから、当然、湯薬がさめてから服用させなさい。中毒の場合を除いては、湯薬で服用するのが望ましい」とあります。 漢方薬には煎じ薬や散薬、丸薬などがありますが、どの形で服用するにしても、このように、体温より少し高めの温度を目安にし、白湯で服用することが、効きめが的確に現れ理想的なのです。 食中毒のような中毒症状が現れた場合は例外で、煎じ薬を冷たくして、あるいは冷たい水で服用することが、正しい手当となります。なぜならば、毒物が体内に入ると、その刺激によって熱が生じるため、冷やして鎮静させることが必要だからです。 このように、生活の中で食事ではどうしても間に合わないほどに体調を崩したり、病気になってしまったときは、安全性が高く、効き目の良い、そして自然の中からつくられた薬を服用するように心掛けてください。病勢を抑え、体力を回復させることが、健康を保持する最も大切な方法だからです。 漢方においては、このように自然の輪廻、自然との調和を中心にして、人体そのもの、あるいは生活方法を考えるのが、大きな特徴です。自然に即応し、同調した毎日を送ることが、健康生活への近道になると信じます. わかりやすい漢方の食養生 元日本薬剤師会漢方委員会・委員長 藤本 肇著 救心製薬株式会社 ■
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by shizennori1
| 2016-09-03 18:16
| ⅩⅧ.正しい食物の「気味」の取り方
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アバウト
自然界に生かされて,何をどのように生きたらよいのか、その意味を良くわかって生きて行かなければなりません。その生き方を考えます。だから事実である事が非常に大事であります。
by shizennori1 カテゴリ
Ⅰ.気とは何でしょう Ⅱ.病は気から Ⅲ.気を病んではいけない Ⅳ.気の充実が「運」を開く Ⅴ.自然治癒力を高める「内気」 Ⅵ.心臓と血液のめぐり Ⅶ.血の病のいろいろ Ⅷ.血の働きを良くするもの Ⅸ.余分な水分を溜めてはいけない ⅩⅠ.五臓と体液との関係① Ⅹ.皮膚からの水分の代謝を良くする方法 ⅩⅡ.五臓と体液との関係② ⅩⅢ.「五行」の思想のはじまり ⅩⅣ.食物・生薬の「五味」の働き ⅩⅤ.「食物の気」の働き ⅩⅥ.四季にうまく「気」を取りこむ ⅩⅦ.季節で変わる五臓の働き ⅩⅧ.正しい食物の「気味」の取り方 1.よりよく生きる生き方 2.徳を積む生き方 3.徳はどうして増やせるのか 4.徳積の生き方と不徳な生き方の相違 5.①知性・理性・感性について 6.②知性・理性・感性について 7.③知性・理性・感性について 8.有意味行為の原則 9.運命を良くする生命霊財産(徳)① 10.運命を良くする生命霊財産(徳)② 11.「生命の親」の御存在 ※西郷南洲翁遺訓 12.「能動変化の理法」 13.「平均調和安定の理法」 14.「出発発展の理法」 15.「種類分化の理法」 16.「強度継続の理法」 17.「循環の理法」 18.「終止限界の理法」 19.「作用総合の理法」 20.「原因・結果の理法」① 20.「原因・結果の理法」② 20.「原因・結果の理法」③ 21.「機会・場の理法」 22.プラス善とマイナス悪 23.「悟り」と「苦しみ」 24.霊的観念・命霊観念 25.親心と子心 26.生命の役割と機能 27.生命的役割 28.「大自然界」の生き方 29.真生命霊財産(徳) 30.より良く生きること① 31.より良く生きること② 32.観念のフイルム 33.内在的な心の世界と外在的世界 34.親性と人間性 35.存在の原理 36.親子の原理 37.親目的について 38.食物連鎖の理 39.価値の段階 40.創設設定の原理 41.生命自覚証の理 42.十元の理法Ⅰ 43.十元の理法Ⅱ 44.十元の理法Ⅲ 45.事状身状の助かり方 46.大自然界の教え リンク
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